ハンマーバレル

 この資料は2005年2月頃に談話室に投稿されたものを湖東がまとめたものです。

 

1.まとめ

 ハンマーバレルとは、非常に良く当たるバレルのことである。グルーピング0.15MOA以下

 ハンマーバレルは購入して撃ってみないと判らない。

 バレルの選択はUSAのトップのデータを参考にするとよい。

  2004年スーパーシュートのトップ20の10.5ポンドクラス 湖東

シーレン

クリュガ

ハート

その他

アメリカベンチ界トップ50位 永山先生

Shilen

27

Kreiger

21

Hart

11

その他

 

日本の基準を次のように決めました。5発x5グループの平均です。単位:MOA

  秀:0.15 ハンマー、ラッキー

  優:0.20 ホッ、良かった

  良:0.25 まあまあ、しかたないか

  可:0.30 だめ、チクショー

 

2.バレルのゆがみたわみについて WildShotさん

 どんなバレル製造法でもバレルから温度差によるたわみゆがみを取り除くことは不可能です。

 バレル・メーカーは加工後、熱を加えたストレスリリースなどをやりこれに対処していますが

 完全とは言いがたく銃身には大なり小なりの温度差によるゆがみ現象が残ります。

 避けてとうれない現実と考えてもらって結構です。

 私は実際にメーカーでボタンにバレル製造に長年、直接関与し今もって無関係ではありません。

 またH-Sのカット・ライフリング製造法も見ました。

 同じロッドで製造したバレルでもそれぞれ生き物のような個性があります。

 ご存知のように一流メーカーのマッチ・バレルだからまったく問題ないんだ・・・こと自体が問題なんですよ。

 メーカーはボア・スコープでバレル内部を点検、

エア・ゲージだなんだとやれグルーブのユニフォームが一万分の1−2“・・・

高品質バレルを保証するような宣伝能書き文句を並べますがゥP00本出荷してすべてそうなのか・・・・

 もちろんほとんどのバレルは一定のマッチといえる水準に到達ていることは間違いない事実です。

 しかしここにハンマー・バレル(稀に当たるダントツ優れもの)、それに次ぐもの・・・まあまあものに分かれます。

 なぜ事前の計測でハンマー・バレルかどうか掌握できないのか?

 もしバレル・メーカーが事前にわかる・・・といったらそれは真っ青な嘘である。

 バレル・メーカーの夢は事前にそれを知ることなんですが現段階では不可能なことなんです。

 温度によるたわみゆがみだけが問題ではありません。

 くどいかもしれませんがバレルの温度によるたわみゆがみは存在するんです。

 ベンチレスト射撃の長い経験者なら百も承知のことがらで私の発見でもなんでもありません。

 私はバーミント・クラスより無差別クラスが好きです。5発のバーミントと違い無差別は各10発グループです。

 1.4”の太いバレルでも温度の上昇により7発あたりから若干グループが広がります。

 中にはバレルに冷却装置を考えたものもいます。

 テキサスの夏は40C近い気温でバレルの温度は急上昇し次のリレーまで元の温度に戻らないということあります。

 当たらないバレルの重要事項が他にもいろいろあります。たわみゆがみはそのなかの一つということですね。

 バレルの振動問題を研究、ここからハンマー・バレルを見つけよう・・・

と試みたその方面の金属振動学専門家もいました。しかし立証できなかったです。

某有名ガンスミスはバレル・ブランクを旋盤のセンターでスピンしてこれは当たるバレル、

 当たらないバレルと選別いう人もいます。今じゃ誰も信じてませんが・・・

 しかし10年前は信じる人がいっぱいいました。

ひよこのメス、オスの選別のように簡単には行かないのがこの世界です。

 最初からお客(シユーター)がこのバレルはまあまあですね・・・

 といわれればほかに何が悪くともバレルが悪いという最初の原点に帰ってしまいます。

 

 

 TBは年間、20数本のバレルを購入、特定のガンスミスにフィッテイングさせそのなかから

ハンマー・バレルを数本選びます。

 バレルというのは実際に撃って始めてハンマーかまたは平凡か、いわゆるまあまあものか判るのです。

 TBに聞けば”すべてバレルだよ”と解答しますよ。

 TBの言う意味はとりあえずバレルはハンマーでなければ・・・これなんですよ。

 まあまあのバレルをいくら優秀なガンスミスがアキュラシイがどうの、芯だしがどうのと努力し

チェンバーリングしてもまあまあのバレルをハンマー波に良くはできません。

 これまでメーカーを含めた長期間、何千本の加工をやった自らの経験からも言えます。

 ハンマー・バレルは適当な2流ガンスミス仕事でもあたります。

 本当に信じがたいことかもしれませんがそれが現実なんです。

 そんな例をこれまで何回も見てきました。良いグルーピングはすべての総合であります。

 ここで話しているのはバレルのことでしかありません。アキュラシイには広範囲にわたるコネクションがあるんです。

 バレルはベースといえるプラットフォームでありこれがまあまあならまあまあのグループにしかならないということになります。まあまあなら射撃の腕でカバー? ローカルの競技では勝てるでしよう。

 しかし大きな大会で優勝するまたは世界記録に挑戦するとなると腕でカバーできないハンマー・バレルが必要です。

 バレルのゆがみたわみから話が飛びましたがこれが私のこれまでの経験から学んだ結論です。

 

3.どこのメーカが良いか

湖東の質問

 次のバレル交換のため教えてください。

 「どこのメーカーのバレルを買えばハンマー・バレルの可能性が高い」のですか?

 投資を無駄にしたくない湖東

 

WildShotさんの回答

 私自身、バレル・メーカー数社と直接、間接的に関係しているので名前をあげての解答は避けたいと思います。

 バレルの購入は米国のベンチ・シユーターも投資と考え湖東さん同様、最大の投資効果を求めています。

 中には誰も使っていないメーカー製品でというシユーターも存在しますが数年たてばメイン・ストリームに入ります。

 どこのメーカー製を選べばハンマー・バレルにいきあたるか・・・・口径により異なるとだけ申し上げます。

 .22LRなら、.22なら、6mmなら、.308ならどこといった具合です。

 ベンチレスト100&200ならスーパー・シユート、NBRSAIBS全米選手権のトップ20リストを見れば想像がつくはずです。

 確かに米国でも250-300ドルのバレル・ブランク、それにバレル・フィッテイング(チェンバーリング)加工で更に150-270ドルかかります。

 交換するたびに一本最低500ドルが飛ぶということになります。

 TBの年間20数本・・・数が多いので割引されているといってもかなりの額となります。

 日本でTBのようなことをやったら大変でしよう。

 

4.ハンマー・バレルの基準 WildShotさん

 ハンマー・バレルの話に入る前にもう一度、銃のチユーニングアップについて説明します。

 これを知らないとハンマーも何もないからです。

 以前にも書いた記憶があるんですが屋内と風のある野外とではチユーニング・ポイントが異なり屋内でのデータが必ずしも野外でも通用するとは限りません。

 また弾によって斜め方向からの風になるとグルーピングが大きくなるとかゥ曹xンチライフルのチユーンは野外でやる・・・

 もっとも一般のシユーターが使える屋内レンジは皆無に近い米国、練習といえば野外しかありません。

 風の中でチユーンする。米国では定説となって久しいです。

 この20年、トンネルを自宅裏庭に建設したシユーターを何人か知ってます。

ほとんど連中はいい成績がだせず苦労してます。

 もっともほとんどの連中のトンネル直径はいずれも1m以下です。

 私も撃ったことがありますがゥ{の長瀞は一度も行ったことがありませんので比較はできませんが・・・・

 ハンマー・バレルは比較的穏やかな野外で撃って5発x5の平均が.150”前後、

 少なくともその中の2−3グループが.100”のポテンシャルを秘めている。こんなところですかね。

 その次の優ですか・・・.180”ぐらいでしようね。

 いろんなブレット、パウダーを使っての総合結果ですが・・・

 非科学的な記述になりますがハンマー・バレルはそれほどロード・データに敏感ではなくチユーンしやすいといえます。

 一般論としてですが・・・・

 米国の競技会参加経験日本人シユーターの方には説明するまでもないのですが今日のSS,全米の優勝記録はどんな風が吹こうが雨が降ろうが100&200のグランド・アグリゲイトは.200-.230“です。

 信じられない話ですが先日、某有名メーカーものの中にどうチユーンしても5発グループが.300“以下にないバレルがありましたよ。

 これは米国大学成績評価で言えばFです。LVバレルじゃ軽くてバス・ボートの錨にもなりませんが・・・・

 米国じゃヤードステック(庭の杭)にでもするか!といいます。

 私は名シユーターではなく迷シユーターですのでお間違いないようにゥb謔E・・上手いとおもったことはありません。

 環境が環境なのでいろいろの射撃ができる・・・それだけです。

 

 TBの言うハンマー基準ですか?

 これは丸秘ですね。私が書き込んだハンマー基準は我々仲間内のもんです。そんなに違わないと思いますよ。